苦しい恋愛・人間関係の原因は“心のクセ(スキーマ)”かも?25歳、生きづらさと向き合う私の記録【第2回】

心が苦しい。その理由が、自分の中にあるかもしれないなんて思いもしなかった
恋愛や人間関係、職場でのちょっとした出来事で傷ついたり、不安になったり。「どうして私ばかり…?」そう思ったことはありませんか?
人は同じ出来事に直面しても、感じ方や受け取り方はそれぞれ違います。
たとえば、半分水の入ったコップを見て「もう半分しかない」と思うか、「まだ半分もある」と思うか。その“思考のクセ”が、私たちの心の苦しさや人間関係のパターンに深く影響していることがあります。
私がそのことに気づいたのは、2回目のカウンセリングで「スキーマ分析」という心理チェックを受けたときでした。
🔻前回の記事はこちら

スキーマとは?16種類の特徴と簡単なチェック方法

スキーマとは、心理学の用語で「自分の中にある思い込みのパターン」や「無意識の信念」のことを意味します。
私たちは生まれてからの経験、特に幼少期の親や周囲との関係の中で
「私はこういう人間なんだ」
「人に迷惑をかけてはいけない」
「愛されるには、頑張らなきゃいけない」
といった“心のルール”を無意識に身につけていきます。
このスキーマは、自己肯定感の低下やHSP的な繊細さ、愛着障害的な不安定さと関係していることも多く、恋愛や職場、人間関係、自己評価にまで影響を与えます。

200問の心理チェックで見えた私のスキーマ

2回目のカウンセリングでは、約200問の心理チェックに取り組みました。
それぞれの質問に対して、「まったく当てはまらない」から「非常に当てはまる」までの6段階で回答していきます。
数値が高いほど、その思考のクセ(スキーマ)を強く持っているとされます。
質問の内容は、「人に頼るのが苦手」「見捨てられるのが怖い」「感情を我慢してしまう」など、日常の行動や感情に深く関わるものばかり。
このチェックでは、自分の中にどんなスキーマがあるかを16のタイプに分類して確認できます。
代表的なスキーマには、以下のようなものがあります。
- 情緒的剥奪、見捨てられ不安、不信感
- 自己否定、依存、失敗恐怖、感情抑圧
- 他人に合わせすぎる、完璧主義、承認欲求 など
この分析を通して、自分がどんな「心のクセ」を持っているのかが、少しずつ見えてきました。
私に強く出ていたスキーマと、その背景

スキーマ分析の結果、私に特に強く出ていたのは「情緒的剥奪」「見捨てられ」「罰」のスキーマでした。
全体の平均値と比較して高く出たスキーマであり、特に「情緒的剥奪」と「見捨てられ不安」は、愛着障害の傾向がある人によく見られる特徴なのだそうです。
ただし、スキーマの強さは単純な点数だけで決まるものではありません。
「全体の平均値が低くても、ある設問だけが突出して高い」という場合もあり、カウンセラーの方からは「ひとつひとつの回答に対して、なぜそう思ったのかを深掘りしていくことが大切」と説明されました。
今回の結果は、単なる診断ではなく、自分の心の癖や、これまでに無意識で背負ってきた“生きづらさのパターン”に気づく第一歩になりました。
情緒的剥奪スキーマとは?

情緒的剥奪スキーマとは、「自分は本当に欲しい愛情や共感を、人から得られない」と感じてしまう、深い心の思い込みのことです。
誰かを信じたい、愛したい気持ちはあるのに、「どうせ分かってもらえない」「また裏切られるかも」と不安になり、素直に受け取ることができません。
🔻こんな感覚がある人は要注意かもしれません
- 親しい人との距離感が極端(近づけない or 依存する)
- 誰にも本当の自分をわかってもらえない気がする
- 本当はつらいのに、人に甘えられない
- どれだけ信じても、「いつか離れていく」と感じる
- 「話してもどうせ通じない」と心を閉ざしてしまう
なぜこのスキーマができるの?
たとえば、両親が忙しくて、寂しくても気持ちに寄り添ってもらえなかった。泣いたときに「泣くな」と感情を否定された。表面的には何も問題がなく見えても、心の奥にある気持ちには誰も触れてくれなかった。
そんな経験をした人は、「どうせわかってもらえない」「頼ってもムダ」と感じるようになっても、無理はないと思います。誰かにわかってほしかった、甘えたかった、その気持ちがずっと満たされないまま残っているのです。
見捨てられ不安スキーマとは?

見捨てられ不安スキーマとは、誰かを信頼すればするほど、「いつかこの人に見捨てられるかもしれない」「裏切られるかもしれない」と不安になってしまう深い心の思い込みのことです。
この不安があると、相手に過剰に依存してしまったり、逆に「裏切られる前に自分から離れよう」としてしまうこともあります。
🔻こんな気持ち、思い当たりませんか?
- 相手が少し冷たくなると「嫌われたかも」と不安になる
- LINEの返信が遅いだけでソワソワする
- 「私は愛されない」とどこかで思い込んでいる
- 一人でいると、強い寂しさや孤独感に襲われる
- 相手に嫌われたくなくて、自分を抑えてばかりいる
- 「捨てられる前に、自分から離れた方が楽」と感じる
なぜこのスキーマができるの?
たとえば、親が突然いなくなってしまったり、大切な気持ちを無視されたり、拒絶された経験がある。「いい子にしていないと愛されない」と感じたことがある人もいるかもしれません。
また、親の気分に振り回されるような関係の中で、「いつまでこの関係が続くんだろう」と不安なまま過ごしたことがある人もいるでしょう。
そうした経験が重なると、「人との関係はいつか終わる」「どうせ捨てられる」という思い込みが、気づかないうちに心に根づいてしまうのです。
罪の意識(罰)のスキーマとは?

罪の意識(罰)のスキーマとは、「自分には罰を受ける価値がある」「失敗した自分は責められて当然」と感じてしまう、深い心の思い込みのことです。
小さなミスで過剰に自分を責めてしまったり、人からの優しさを受け取ると「そんな資格はない」と感じてしまうこともあります。
無意識のうちに、自分自身を厳しく裁くような生き方をしてしまう傾向があります。
🔻こんな感覚がある人は要注意かもしれません
- 小さな失敗でも「自分はダメだ」と強く落ち込む
- 褒められても「たまたまだ」「本当はそんな人間じゃない」と否定してしまう
- 幸せになることに、なぜか罪悪感を感じる
- 他人には優しくできるのに、自分には厳しすぎる
なぜこのスキーマができるの?
たとえば、子どもの頃に些細なことで強く叱られたり、失敗を許してもらえない環境で育った。何か悪いことが起きるたびに「お前のせいだ」と言われて、自分のせいだと信じ込んでしまった。
頑張っても十分に認められず、常に「まだ足りない」と言われてきた…。
そんな環境で育つと、「私は罰を受けるべき存在なんだ」「うまくいくとバチが当たるかも」といった思いが、心の奥に残ってしまいます。
だからこそ、自分を責めすぎてしまうのも、無理はないのかもしれません。
日常生活の中で感じたスキーマの影響

今回のスキーマ分析を通して気づいたのは、私の中にある“思考のクセ”が、日常生活に大きな影響を与えていたということです。
特に、「情緒的剥奪」や「見捨てられ不安」「罪の意識」のスキーマは、恋愛や人間関係だけでなく、仕事の場面でも強く出ていると感じました。
たとえば、頼ることができず何でも一人で抱え込んでしまったり、ちょっとした言葉で「嫌われたかも」と不安になったり…。
人との距離感に悩んだり、自分ばかりが我慢してしまうような場面が思い返されます。
これまで「性格だから仕方ない」と思っていたことも、心のクセ=スキーマによるものかもしれないと考えることで、自分を責めずに見つめ直せるようになりました。
職場でもスキーマが邪魔をする
仕事中は冷静なつもりでも、人間関係ではスキーマの影響を強く感じます。私は部下に指示を出す立場ですが、相手の反応が気になって心がざわつきます。
嫌われたくなくてNOと言えず、つい何でも引き受けてしまいます。人を信じたいのに「どうせ裏切られる」という思いがよぎり、結局一人で抱え込みがち。
ミスをしたときも、怒られたことよりも自分で自分を責めてしまい、落ち込みから抜け出せません。
「職場がつらい」の根っこには、自分の思い込み(スキーマ)があるのかもしれません。
恋愛でもスキーマが関係している
恋愛になると、相手との距離感が急にわからなくなります。依存したかと思えば、突き放してしまう。
私の場合、「もう知らない」と突き放して相手の愛情を試したり、「どうせ裏切られる」と自分から離れたり…。
でも本当は、離れたくなんてないんです。ただ、確かな愛情がないと不安でたまらない。会っているときは幸せなのに、離れた瞬間、不安が押し寄せてくる。
その不安が、また関係を壊してしまうのです。
スキーマ分析での気づきが、人間関係の見方を変えた

なぜ私はいつも人との距離感に悩んでしまうのか――スキーマ分析を通じて、その答えが少しずつ見えてきました。
恋愛でも友人関係でも、「嫌われたくない」「裏切られるかもしれない」という不安から、無意識に相手を遠ざけたり、試すような行動をとってしまっていたのです。ずっと相手の問題だと思っていたけれど、実は自分の中の思い込みが関係していた。
カウンセラーと一緒に振り返る中で、人間関係の見方がやっと変わり始めました。
スキーマ分析は、恋愛や人間関係で悩むすべての人に届けたい

「どうしていつも同じことでつまずくの?」
「私ってやっぱり愛されないのかも…」
そんなふうに感じている人は、恋愛だけでなく職場や友人関係など、日常の中でもスキーマの影響を受けている可能性があります。
まずは、自分の“思考のクセ”に気づくこと。それだけでも心の重荷が少し軽くなります。診断やカウンセリングを受けてみることで、「私ってこういうクセがあるんだ」と客観的に見つめることができるようになります。
自分を責めるのは、もうやめよう
あなたがつらかったのは、あなたが悪いわけじゃない。ただ、少しだけ“思考のクセ”にとらわれていただけかもしれません。
心が軽くなる第一歩として、ぜひスキーマ分析を体験してみてください。